紙の本のメリットとデメリット
紙の本の意義
紙の本のメリットは多様な感覚刺激を有する点であり、デメリットは物理的な制約を受ける点であろう。
紙の本は電子書籍の類と異なり、実際に本を手に取り重さを感じ、ページをめくっていく「体験」がある。これが場合によっては記憶の定着にも影響してくる。
一方で紙の本はその特性ゆえに物理的な制約を受ける。
本棚は有限であるし引っ越しの際に山積みの本を運び出すのは一苦労だ。
日常の持ち運びに関しても、冊数が増えれば増えるほど分が悪い。
多様な感覚刺激
人にはいくつかの感覚があり、これらを併用したほうがより印象的な経験(記憶)となることが多い。
例えば目で見るだけでなく実際に手を動かしながら、聞くだけでなく話しながら。五感を使いながらの体験はその人の刺激となる。
鼻詰まりのとき食べる料理は味があっても味気ないが、それは香りという要素が不足しているためであろう。
読書についても同じことが言える。
本を手に取る感覚や、ページをめくる動作。これらは本の内容から得られる「知識の情報量」には関係がないかもしれないが、「感覚としての情報量」には影響するだろう。
そして感覚の情報量は記憶の忘れにくさや思い出しやすさに影響する。
つまり紙の本を読むという行為は、その人にとってより鮮明に記憶することに貢献してくれるかもしれない。
物理的な制約
当然ながら紙の本は物理的な制約を受ける。これがデメリットだ。
まずは保存場所。
本を読めば読むほど、読書家であればあるほど所有する本は増えるだろう。しかしそれを自宅のどこに保存すればいいのだろうか。
今時は自宅に書斎や書庫がある家庭のほうが少ないかもしれない。家に本棚を置けば、当然そのスペースは本棚となり別の物を置いたり別の作業をするスペースにはならない。
紙の本を持つということは、その本を置いておくための家賃を払うことになる。
保存場所と同様に、持ち運びでも制約を受ける。
文庫本であってもそれをポケットに忍ばせれば、あとのスマホや財布はどこに入れればいいのだとなるだろう。一度に複数の本を持ち運べば、その重さはそれなりにもなる。
出先でも紙の本を読む習慣をつけるのであれば、手ぶらで外出することは諦めないといけないかもしれない。
紙の本を持つこと
以上のように、紙の本を持つことは良い面もあれば悪い面もある。ただしこれは電子書籍でも同様のことが言えるし、多くの物事はメリットとデメリットがある。
要は、自分の生活スタイルが何を重視しているかということだ。
おそらくは読書というものが単なる情報の入手ではなく、人生の楽しみとして愛着を持っている人は紙の本がいいかもしれない。