電光石火(でんこうせっか)の意味
電光石火(でんこうせっか)とは、非常に速い動きや非常に短い時間を表す四字熟語である。
電光とは電気の光、つまり稲妻や雷を表す。
石火とは石を打ち付けた際に生じる火花を表している。
どちらも一瞬の内に生じる極めて短く極めて速い現象である。この様子から、電光石火は動作の速さや時間の短さを表現する四字熟語となっている。
比較的知られている四字熟語であるためか、創作物において固有名詞として使われることも多い。
そして日常的には、「目にも止まらぬ速さ」を表現するときに電光石火という言葉が使われることが多いのではないだろうか。
どうして私達はこうもスピードを賞賛するのだろう。
動きが素早いことはほとんどのスポーツで重宝される。
家事が素早い主婦は良い主婦とされ、仕事が速いサラリーマンは出世する。
頭の回転が速い人は聡明と評価され、フットワークが素早い人は時代を先取り成功する。
洗濯乾燥機と食器洗い乾燥機で家事の時間は速くなり、高速道路で素早く遠方へ移動できる。
ラーメンは三分で出来上がり、ケトルですぐにお湯は沸く。
私達はなぜこうも電光石火のごときスピードで生きようとするのだろうか。
そうかと思えば、逆に時間の短さに人は切なさを覚える。
青春の時間、子供が巣立つまでの時間、休日の一日、人ひとりの人生。
私達は生きているこの時間が俯瞰して見れば電光石火のごときあっという間の歳月であることに驚き、感慨を示し、少しの切なさと命の尊さを感じる。
私達は自分の動作を電光石火のごとく時短しながら、人生の時間は逆に長く長くと引き伸ばそうとしている。
今日も、電光石火のごとく世界中で様々な物があっという間に消費され、時間は止めることなく流れている。
このページの文章も、電光石火のごとく消費される雑文の一つである。
そしてこの文章を読んでいる人は、電光石火とは真逆に人生の時間を長く長くと伸ばそうとする、要するに暇つぶしをしていることになる。