優しさの形は人それぞれだから

オムニバス(エッセイ風小説)

優しさの形は人それぞれだから

 優しさの形は人それぞれだから、私は私の、あなたはあなたの、優しい自分であればいい。

 人に優しくあれること。
 世界に優しくあれること。
 自分に優しくあれること。
 それらは私達の心をじんわりと温めてくれる。

 人に優しくあることは、人によって形が様々だ。
 寄り添うことが優しさである人もいれば、厳しくあることが優しさである人もいる。
 自分にできることをやるのが優しである人もいれば、相手がしてほしいことをしてあげる優しさもあるかもしれない。

 大切なのは、一つの優しさで他の優しさを否定しないこと。
 あなたにはあなたの、あの人にはあの人の優しさがあるから。

 世界は一向に良くならないかもしれないし、社会は不合理なことが多いかもしれない。
 けれどどこかに、例えば季節の移り変わりで素敵な思い出を思い出すように、私達は世界を愛おしく感じる瞬間があるかもしれない。そういうものを大切にして、私達は世界を愛し世界に対して優しくあることができれば、それは幸せなことかもしれない。

 私達は、一人の人間では把握できないくらい、多面的で広い世界で生きている。

 自分の心を感じ、大切にし、喜びとか、温かさとか、尊さとか、そういうものを全身で感じること。自分に優しくあること。
 私達は一人一人が、かけがえのない存在だ。けれどそのかけがえのなさは、まずは自分が認めなければ感じることはできない。
 あなたはかけがえのない存在である自分自身の心を通して、この世界や、他者を見る。
 心が傷つくことも疲れることも、時としてはあるかもしれない。
 けれど自分に優しくあることで、自分自身のかけがえのなさと、自分の心の形のようなものに気づくことができる。
 あなたはあなたの心の輪郭をなぞりながら、自分が物事をどう感じどう考えるかを振り返る。自分に正直に生きることは難しくても、その難しさを忘れるよりは、何かを見失わずに済むかもしれない。

 あなたがあなたらしく、優しくあれることで、あなたの心は澄んだものでいられるかもしれない。

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