今に集中する方法と気がけていること

オムニバス(エッセイ風小説)

今この瞬間を生きる

今を生きることの難しさ

 今この瞬間に集中し、今を生きること。
 それは意外と難しいことのようだ。
 人は過去のこととか、未来のことばかり考えてしまう。

 けれどすでに起こってしまって変えられないことや、まだ起こるかもわからない先のことばかりを考えすぎて、今が手つかずになってしまっては本末転倒だ。


 きっと私達は、今この瞬間に集中し、今を生きることを大切にしなければいけない。
 それは過去から学ばないことでも、未来を考えないことでもないだろう。

今を生きるということは

 今を生きるということは、過去から学ばないとか、未来を見て見ぬふりするということとは少し違う。

 今を生きるという言葉を言い訳に、後先を考えずに身勝手な行動を取ることはいささか安直だ。
 おそらく今を生きるとは、もっと誠実なものではないだろうか。

 過去の学びを活かすこと(それは今を生きる大切さを知ったことも含む)。
 未来を見据えること(それは持続可能であるということだ)。
 それらと今を生きることは矛盾しない。

 今を生きるということは、過去も未来も含めた自分の人生が、かけがえのないものであると知ることなのだ。

着なかったコートに袖を通す

 お気に入りの服が汚れるのが嫌で、普段はつい楽な洋服を着てしまう。
 お気に入りの靴が汚れるのが嫌で、普段はつい古い靴を履いてしまう。

 私達は「いつか来る大切な日」のために「とっておきのもの」を使わずとっておくのが好きだ。
 けれどその「いつか」は多くの場合なかなか来ないし、「とっておきのもの」は使わなければ古びてしまう。


 最高の日を後回しにしていては、人生がもったいない。
 最高の日は自ら手繰り寄せていきたい。

 自分の身体は一つで、自分の人生も一つだ。
 だから自分の心が躍る物は、「いつか」ではなく「今」身に着けたい。

 そのとっておきのコートがクローゼットの中で埃をかぶる前に、今袖を通して、街を歩き、季節の移り変わりを感じたい。

今に集中するコツ

 今に集中するコツは、自分の人生を丸ごと愛せることだ。(それは難しいことかもしれないけれど)

 過去に心を奪われるのではなく、未来に気を取られるのではなく、もっと広い視野を持つこと。
 視野を広げたその中心に、今がある。
 あなたがあなたの人生を認めることで、その視野は今を中心に温かく広がる。
 過去から学び、未来を見据え、今に集中することができる。
 季節の移り変わりや、食べる物の美味しさや、眠ることや入浴することの心地良さ。
 今に集中することで、そんな日常のささやかな、けれどかけがえのない営みに対する感覚を取り戻すことができる。それらは今に集中することを助けてくれて、良い循環を生み出してくれる。

 それは一種の瞑想なのだ。
 自分の人生を認め、視野が広がり、今に取り組めること。
 私達は今を生きている。

テキストのコピーはできません。
タイトルとURLをコピーしました