㐲線とは
伏線とは、物語の展開を示唆する要素を事前に描写することである。
物語りの中で事前に描写された要素が、後の展開にしっかりと関係していく。
これにより読者・視聴者は「ああ、あのときをあれはこういうことだったのか」と点と点がつながる爽快感を得ることができる。
伏線は物語のテクニカルなおもしろさを左右する重要な要素の一つと言える。
伏線が伏線としてきちんと機能した状態を「伏線回収」「伏線が回収される」と言う。伏線回収の有無は、読者・視聴者にとって重要な関心事の一つであると言えるだろう。
ここで伏線の例を一つ挙げてみよう。
推理ドラマにおいて主人公は事件の犯人を追っている。
そして捜査の中で手掛かりとなる写真を見つけ、そこに写っているAが犯人の可能性が高いと推理する。
紆余曲折あってAの居所を突き止める主人公。そしてAと対峙する。しかしAはその事件に関わりを持った一人でしかないことが判明する。黒幕は別におり、それは同じ写真の端の方に写っていたBだったのだ。
伏線の張り方としてはオーソドックスなものの一つではないだろうか。
写真や一部のシーンにおいて、注目される個所以外の要素が後の展開に重要な影響を与えるというパターンである。
このように伏線の多くは視聴者に「自分が注意深ければこの伏線に気づけたはずだ」というある種の一本取られた感覚を与える。これがもどかしさとおもしろさを促す。
このため伏線は当然ながら筋が通っている必要があり、同時に安易に結末を予想されない巧みさが必要となる。
では最後に、このページ自体の伏線を回収したいと思う。
伏線とは、物語の展開を示唆する要素を事前に描写することである。
伏線の「伏」という字は「ふせる」という意味の漢字であり、異体字(形は違うが意味は同じである字)として「㐲」や「㑀」がある。
つまり冒頭の見出しで書いた「㐲線とは」という問いの答えは、「『伏線』と同じ意味」ということになる。