ハムスターと私の小説

オムニバス(エッセイ風小説)

ハムスターと私

ハムスターを飼いたい

 小学校の五年生の頃、私は初めてハムスターを飼った。お父さんとお母さんに買ってもらった。

 私は四年生の頃に、ハムスターを飼いたいとお父さんとお母さんに相談した。家がマンションなので犬や猫は買えないけれど、ハムスターなら大丈夫かもと思ったから。私はペットを飼ってみたかった。
 それから一年ほどして、お父さんが「ハムスター飼ってみるか」と提案してくれた。
 なぜ一年ほどの時間差があったのか、私にはわからない。お父さんとお母さんは私の話やしたいことをよく聞いてくれるけれど、すぐにというわけではない。いつも、ある日思いたったように私の願いを叶えようとしてくれる。とても嬉しいことだけれど、時間が経っているとどんなふうに喜んだらいいのかちょっとわからないことがある。
 きっと願いが叶うには時間が必要なのかもしれない。けれど願いはすぐに叶ってほしいとも思う。すぐに願いを叶えてほしいと思うことは、贅沢なのかもしれないけれど。

ハムスターを飼う約束

 ハムスターを飼う前に、私はお父さんとお母さんと約束をいくつかすることになった。

 一つは、できるだけ自分で世話をすること。
 子供一人ではできないことは大人が手伝うけれど、自分でできるお世話は自分ですること。
 「もしも私が風邪をひいてお世話をできないときは?」念のために私は聞いた。
 「そのときはお母さん達が手伝うわ」お母さんは言った。
 「もしもうっかりお世話を忘れたらどうなる?」
 「そのときはお母さん達があなたに声をかけるかもしれないわね」
 「生き物を飼うということは責任が伴うからね」お父さんは言った。「正直、多少お世話ができなくてもお父さんとお母さんが手伝うよ。でもどのくらいお世話を一人でできたかで、これから先のことは変わってくると思うよ。例えば先々、別のペットも飼ってみたくなったとき、ハムスターの世話ができていなかったら『ハムスターのお世話もちゃんとできていなかったじゃないか』となってしまう」
 「なるほど」私は納得した。
 「信用の積み重ねなんだ」お父さんは言った。

 もう一つの約束は、お世話の仕方はお父さんとお母さんに相談すること。
 ハムスターは人間とは違う。だから暮らし方も食べる物も違う。ちゃんとハムスターに合った育て方をしないといけない。だから食べさせるものや接し方は大人にまず相談をすること。

 私はこの二つの約束をお父さんお母さんとして、ハムスターを飼うことになった。

ハムスターを飼うためにハムスターを買いに行く

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