ハムスターを飼うためにハムスターを買いに行く

オムニバス(エッセイ風小説)

前項

ハムスターを飼うためにハムスターを買いに行く

ペットショップでハムスターを買う

 私達家族が選んだハムスターはジャンガリアンという種類の白いハムスターだった。
 ペットショップの店員さんいわく、ジャンガリアンハムスターは他の種類のハムスターよりも世話がしやすいのだそうだ。
 私はゴールデンハムスターよりも少し小さいジャンガリアンハムスターを可愛いと思った。特にお尻のちょこんとした尻尾はたまらなく可愛い。ペットショップにはもっと尻尾が長いハムスターもいたけれど、そっちはちょっと、本当のネズミみたいでちょっと怖かった。
 店員さんは数匹いるジャンガリアンハムスターを一匹一匹ケージから出して見せてくれた。店員さんはハムスターに時々噛まれていたけれど、あまり気にしてない様子だった。
 私達は数匹のジャンガリアンハムスターから雌の一匹を選んだ。

ハムスターが家に来た最初の日

 それから数日後、ついに我が家にハムスターが来た。
 私はハムスターを見たくてしょうがなかったけれど、ストレスになるからあまりのぞき込まないようにとお母さんに言われた。住む場所が変わったばかりのハムスターは緊張しているので、あまりのぞき込んだり触れ合ったりしないほうがいいらしい。
 私はハムスターが来て一週間くらい、ただ食事や水を取り替えるだけでハムスターとほとんど接することはなかった。その間、私は食事の量や水の取り替え方をお母さんに教えてもらった。

 ハムスターは夜行性で、昼間は寝ている。私は朝起きて学校に行く前に、そっとケージの隅にある小屋をのぞき込む。ハムスターのストレスにならない程度に。ハムスターは小屋の中でうずくまって寝ている。
 私が起きている間にハムスターは寝ていて、私が寝ている間にハムスターは起きている。すれ違い。ハムスターを飼っている意味がない、とまでは言わないけれど、私達はこのまま触れ合うことなくお互いの生活を送っていくのだろうか。
 ハムスターに全然会えない。私がお母さんにそう言うと、もう少し慣れたら夜寝る前や他の時間にも少しずつ会えると教えてくれた。とにかく今は家に来たばっかりだからそっとしておいたほうがいいとお母さんは言った。

 私はハムスターをそっとしている。
 ハムスターがご飯を食べたり回し車を走ったり水を飲んでいる間、私は眠っている。
 そしてハムスターが寝ている間に、私は学校に行き友達と話したり授業を聞いたりしている。
 私達の生活はそれぞれで流れている。

ハムスターは脱走しているかもしれない

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