トイレのあとの手洗い
トイレで手を洗うとき石鹸を使うかどうか
私は正直、トイレの後の手洗いは、石鹸を使わず水だけで済ませることが多い。
特に真冬の水が冷たい季節は、指だけ水がかかり掌は洗っていないこともある。
それがどちらかと言えば不衛生で、他人から見れば心地良くないことであることはわかっている。
だから私はトイレのあとに、石鹸を使っていなくても、石鹸を使って手を洗ったような顔をしている。
トイレのタンクの手洗い場
トイレタンクについている手洗い場。あれでは石鹸で手を洗うことはできない。
なぜならあそこに溜まった水が水洗トイレの水になるからだ。
石鹸や過度な汚れを流してしまえば、タンクに不具合が出る。
トイレで水を流すと、タンク上部の水道から水が出てきてタンクに再び水が溜まる。
水道から水が流れタンクに溜まるその間、流れる水で手を水洗いすることができる。
なんとも合理的な文明の利器。
けれどもちろん、トイレタンクの手洗い場は合理的であってもおしゃれではない。そして清潔かと言えばまあ、ないよりマシだがあっても使わない人もいる。
あの狭いスペースの手洗い場での水洗いは、ただの慰めにしかならないだろう。
要するに私が言いたいのは、トイレタンクの手洗い場での手洗いで育った私は、石鹸を使わない手洗いに違和感を感じず育ってしまったということだ。
水洗いで充分ではないのか
そもそもトイレの後に手の隅から隅まで石鹸で洗う必要があるのだろうか。
水洗いでも菌はある程度洗い流せると聞いたことがある。
菌を落としすぎるのも肌に良くないと聞いたこともある。
明らかに手に尿や便が付着したときは話は別だが、そうでないときにまで石鹸で手を洗う必要があるのだろうか。
清潔なのではなく清潔と思えること
結局は、本当に殺菌できたのかとかその手洗いは必要なのかとかはどうでもいいのかもしれない。
結局は、清潔だと思えるかどうかなのかもしれない。
スマホはトイレの便座より菌が多いと聞くけれど、便座のように扱う人はいない。
私達は時として、清潔である以上に清潔だと思えることを重視する。
トイレの後に水洗いで満足できれば石鹸は使わない。
逆に(水洗いで菌が大方排除できていたとしても)石鹸を使わないと耐えられない人もいる。
要は人それぞれの価値観だ。
しかし確かなことが一つだけある。
自分の手は水洗いで充分と思っていても、他人がトイレの後に石鹸を使っていないとわかるとちょっと引くということだ。
特に大をしたあとにその人が石鹸を使っていないと知ると、ちょっと引くということだ。
だから私達はトイレを通して本音と建前の使い分けを実感する。
私達はトイレの後に手を水洗いし、「トイレでは石鹸を使って手を洗いました」という顔をしてトイレから出てくるのだ。