幸せを感じることは不幸への保険

オムニバス(エッセイ風小説)

幸せを感じることは不幸への保険

幸せを感じることは不幸への保険

 今ある自分のささやかな幸せを見つめることは、いつか来るかもしれない不幸への保険になる。

 自分の身の回りにあふれているささやかな幸せを自覚すること。
 それは「ああもっと大切にすればよかった」という後悔を防いでくれる。

 失って初めて気づく幸福さほど、不幸なものはないのだ。

今ある幸せに目を向ける

 例えば「健康」というものは失って初めてそのありがたみに気づく。
 これはよく言われることだ。

 特に病を患っていない人にとって、日々の健康は「当たり前」になってしまう。
 だから病気になったりしたときに「健康って本当に大事だな」と骨身に染みる。

 そして人によっては後悔する。
 もっと身体を大切にしておけばよかった。
 もっと身体が動くうちにいろいろなことに挑戦すればよかった。

 多くの人は、大切なものを失いたくて失うわけではない。
 だから人生において喪失はある意味で避けられない。

 何かを失ったときに、今までの自分がそれをないがしろにしていたら後悔するだろう。
 けれど日々大切にすることができていたら、その後悔も少しはマシになるかもしれない。

幸せを感じる方法

 幸せに生きる方法の一つは、自分がすでに持っている幸せを掘り下げていくことだ。

 多くの人は、幸せになるために外に目を向けてしまう。
 幸せになるために何かを買い、幸せになるために誰かに出会おうとし、幸せになるために過去を否定し別の未来を手に入れようとする。

 けれど条件付きの幸せは脆弱だ。
 ○○があれば自分は幸せになれるという考えは、一生終わらない「ないものねだり」を招く。

 そうではなくて、自分がすでに持っている幸せをしっかり見つめ、それを広げていく。

 ある人は健康かもしれないし、
 ある人には家族がいるかもしれないし、
 ある人には住まいがあるかもしれない。

 季節の移り変わりを感じ、
 ささやかな娯楽を楽しみ、
 コーヒーを飲んでほっとするかもしれない。

 形は違えど、誰にでも多かれ少なかれそういった「すでに持っているささやかな幸せ」がある。

 それらを仮に失っても、後悔しないような生き方をできているだろうか。

 幸せになるためには「○○があれば幸せだ」と外に目を向けるのではなく、内に目を向け今ある自分の幸せを存分に感じていく。
 自分が持っていてまだ気づけていない幸せを見つけていくことは、新たな幸せと出会う機会も作ってくれるだろう。

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