【ショートショート】アメリカンジョークの作り方

オムニバス(ショートショート)

アメリカンジョーク

アメリカンジョークの作り方

鈴木「アメリカンジョークってどうやって作ればいいだろう?なかなかアイディアが思いつかないんだ」
佐藤「アメリカンジョークは皮肉めいたオチと、そのオチを説明しすぎない終わらせ方がポイントさ。オチを説明しすぎると、アメリカンジョークのなんともいえないユーモアがなくなってしまう」
鈴木「なるほど。そうは言ってもなかなか思いつかないな」
佐藤「俺が試しに作ってみようか?」
鈴木「それはありがたい」
佐藤「この会話の一行目に戻ってくれ」

新薬

 その薬を打たれたら、みんな一から二年で死んでしまったらしいんだ。
 怖い怖い。命を使った実験ってやつだ。
 実験台にされたマウス達に同情するよ。
 え?マウスの寿命を知っているかって?

班分け

 鈴木が担任を受け持つクラスは生徒達のまとまりに欠けるようだ。
 男子三人女子二人の五人グループを作ろうとするといつもうまくいかない。
 どうしてこんなにまとまりがないものかと鈴木は日々思っていた。
 ある日、たまたま男子二人女子三人のグループを作る機会があった。
 生徒達はすぐにグループを作り班分けはスムーズに終わった。

食料備蓄

 友人はとても心配症で、過剰なくらい食料備蓄をしている。
 家に遊びに行ったとき、「もうすぐ賞味期限だから、この辺のは好きなの食べていいよ」友人は言った。
「ありがとう。いただくよ。缶切りある?」僕は言った。
 友人は缶切りが入った缶詰を僕にくれた。

浮気

 浮気相手とキスをした日、私と会う前に口元をちゃんと拭くあなた。
 浮気相手の口紅が付いてしまっていること、ちゃんと気がついているのね。
 しっかりした人。
 でもね、あなたの浮気相手、きっと口紅だけじゃなくて、
 ラメの入ったファンデーションも付けてたんじゃない?

人生の周回

 高校になって、 僕は久しぶりに幼馴染に会った。
 彼女はメイクが上手くなっていた。
 僕が大学生になった頃、 彼女は結婚していた。
 僕が就職した頃、 僕達はどちらも 独身の若者だった。
 人生は競争ではないけれど、 周回遅れのようなものはあるようだ。

 僕はラーメンや焼き鳥が好きなのだけれど初めてのデートは気を遣っておしゃれなカフェにした。
 彼女は普段あまり本を読まないのだけれど僕がおすすめの本を借りて読んでみたいと言った。
 趣味は合わないけれど、気は合うらしい。お互い恋をしているようだ。

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