人の話を聞く力
人の話を聞く大切さ
人はおおむね、話したい生き物だ。
だから「話すのが上手い」より、「話を聞くのが上手い」ほうがコミュニケーションでは重宝するだろう。
それに、人の話を聞くということは自分の情報が大なり小なり増えるわけだから、悪い話ではない。
大切なのは「私の話を聞いてほしい」という短絡的な欲求をほどほどに、相手の話を聞くことでコミュニケーションの主導権を持てることだ。
人の話を聞くときに気をつけること
- 相手が話しやすいように自分も少し話す
- 相手の話をコントロールするのではなく促す
- 話を聞く人を選ぶ
人の話を聞く場合、おそらくこの三段階を意識すると良いだろう。
人の話を聞くコツ
相手が話しやすいように自分も少し話す
人は誰でも話しやすい人・話したい人と話したい。
だから自分が相手にとって話しやすい人・話したい人になることが大切だ。
相手にとって「話してもらえる人」になることが大切なのだ。
そのためには、自分も少しは話さないといけない。相手が話しやすくなるまでの空気を、自分も話しながら作っていかなければならない。
話しにくい雰囲気のときは自分が話し、話しやすい雰囲気のときは相手の話を聞くのだ。
話すという行為を、「自分語り」ではなく、相手に話したいと思わせ話を引き出す「潤滑油」として用いるのだ。
潤滑油としての話す行為とは、肯定的な頷きであったり(批判的ではなく好意的な)質問であったり賞賛などだ。
また自分のことを開示するような話は相手を信頼させ相手も話しやすくなるだろう。(ただしそれが長くなると単に「自分語り」になるので注意が必要だ)
相手の話をコントロールするのではなく促す
時々、相手の話を聞いていると見せかけて自分の話をねじ込んでくる人がいる。
時々、相手の話を聞いていると見せかけて自分の持っていきたい結末に運ぼうとする人がいる。
時々、相手の話を聞いていると見せかけて否定したり不必要なアドバイスをしてくる人がいる。
時々、相手の話を聞いていると見せかけて結論を先取りし勝手に話を終わらせる人がいる。
それは相手が満足する聞き方ではない。
相手のペースで相手の話したいことを話してもらうことが大切なのだ。
そのために必要なのは、相手の話を上手く引き出す・促す力だ。
大きくは「待つ力」と「肯定する力」だろう。
「待つ力」とは、相手が話し終わるまで待ったり、なんて言ったらいいか考えているときに先取りせずに待てることだ。
待てない人は、「今から言おうとしたのに」と相手が思っていることを先に言ってしまうことがある。(そういう人に限って「相手は愚か」で「自分は頭の回転が速い」と勘違いしている)
あるいは「そういうことじゃない」といった話し手にとって的外れなコメントを言ってしまうことがある。
それでは相手は満足しない。それどころか「この人に話してもわかってもらえない」と思われるだろう。
「肯定する力」とは、文字通り相手を否定せず受け入れる聞き方だ。
もちろん、相手の話をなんでもかんでも肯定できるとは限らない。人と人とは考え方が異なるし、聞き上手とイエスマンは違うからだ。
だから肯定する力とは、自分の考えを尊重しながら相手の考えも尊重できる視点の広さ・バランス感覚・言葉選びのセンスとも言える。
話を聞く人を選ぶ
人の話をちゃんと聞こうとすると、なかなかしんどいものだ。
だから人の話を聞けないから自分はダメなんだと悲観する必要はない。
繰り返しになるが、人は元々聞くより話したい生き物なのだ。
それを認め、昨日より今日、少しだけ理性的になろうとささやかな一歩を踏み出せばいい。
自身と他者は話すペースも違うし、考え方も違う。
だから自分が関わる全ての人の話をいきなり聞こうとするとなかなか疲れてしまう。
人の話を聞くことで、自分の心を損なってはいけない。
興味のない人や嫌いな人の話を聞くことはストレスがかかる。
まずは興味のある人・好きな人の話を聞くことから始めてもいいだろう。
最初から誰にでも上手に話を聞けるようになる必要はない。
自分が話を上手に聞ける人を、少しずつ増やしていけばいい。
あなたが関われる人も、その人の話を聞く時間も、有限なのだ。
自分が好きな人・興味のある人から少しずつ人の話を聞く練習をする。
そういうささやかな一歩から始めれば、案外人の話を聞くのは楽しいものだ。