【ショートショート】今この瞬間を生きるということ

オムニバス(ショートショート)

今この瞬間を生きるということ

今この瞬間を大切に

 今この瞬間を生きるということ。
 それがきっと大切だ。

 やりたかったこと
 行きたかった場所
 見たかったもの
 会いたかった人
 読みたかった本

 そういうものを今始めることがきっと大切だ。

限られた時間の中で

 人の時間は限られている。
 人の命は限られている。
 人の人生は限られている。

 明日世界が終わるかもしれないから。
 明日私の命が終わるかもしれないから。
 明日大切な人と二度と会うことができなくなるかもしれないから。
 明日、今日自分ができていたことができなくなるかもしれないから。

 だからきっと、私がやりたいことは今できることで、今しかできないことで、今やることなんだ。

永遠の準備を終えて

 私達は準備をするためだけに生きているわけではない。

 貯金が貯まったら
 時間ができたら
 周りに理解してもらったら
 自分がふさわしくなれたら

 そういう準備で言い訳をしていたら、きっと私はずっとやりたいことができだろう。

たとえ人に嫌われても何かを失っても

 今を生きるということは、時として周りに流されないということでもある。

 自分が大切にするものを見つめ、自分がどう生きいかを見つめ、自分の人生が誰かの人生や時間で代替できないことを見つめる。

 今を生きるということは、ある意味で自分の人生に責任を持つということだ。
 誰かに言われたことをするのではなく、自分で選んだことをして、後悔のない人生を送る。
 それには自分の人生に対する覚悟と責任が伴うことだと思う。

 それは勇気がいることかもしれない。

私が埃をかぶる前に

 履かなかったスニーカーはいつしか埃をかぶるだろう。
 袖を通さなかったワンピースは、いつか自分に合わなくなってしまう。

 弾かなかったピアノ
 出なかった電話
 インスタントで済ませたコーヒーと、感じなかった季節の移り変わり。

 このかけがえのない今を手の中でコロコロ転がしながら、何もしなければ、いつしか私は私を失っていく。

だから私は今を生きる

 だから私は今を生きようと思う。
 今に夢中になろうと思う。

 私のしたいことはなんだろう?
 私が行きたい場所はどこだろう?
 私は何を言いたいだろう?
 私は何を大切にしたいだろう?

 とりあえず、この文章を書いている私と読んでいるあなたは、今に集中できていないのだろう。

テキストのコピーはできません。
タイトルとURLをコピーしました