1時間弱・小一時間の意味と勘違い

オムニバス(エッセイ風小説)

一時間弱・小一時間の意味と勘違い

1時間弱・1時間強・小一時間の意味

 「1時間弱」とは、1時間よりも少し短い時間のことである。
 感覚的には50分とか55分くらいであろうか。

 「1時間強」とは、1時間より少し長い時間のことである。
 感覚的には、1時間5分とか1時間10分などだろう。

 「小一時間」とは、1時間弱と同じである。
 1時間よりも少し短い時間を指す。

 このように、「弱」と「強」はその量より「少し少ない」「少し多い」を表していると言える。

1時間弱の勘違い

 「1時間弱」という言葉の意味を勘違いしている人は少なくない。そしてその感覚はわからなくはない。

 「1時間弱」を「1時間とちょっと。つまり1時間5分くらい」と考えている人は少なくないということだ。
 そしてこの勘違いに連動して、「1時間強」は「1時間と結構な時間。つまり1時間30分くらい」と考えてしまう。

 1時間弱を「1時間とちょっと」と考えるのは誤りであるが、気持ちはわからなくもない。
 つまり本来の「1時間弱」は「1時間より弱」なのだが、これを「1時間と弱」と考えてしまうということだ。

1時間弱の紛らわしさ

 どうしてこのような勘違いが発生してしまうのだろう。
 あるいは、どうしてこうも「1時間弱」「1時間強」という言葉は紛らわしいのだろう。

 個人的に、この紛らわしさには数の概念が関係しているように思う。

 「1時間弱」の正しい意味は冒頭で書いた通り「1時間よりも少し短い」時間である。
 つまり「1時間弱」という言葉は引き算の考え方なのだ。
 1時間より少し時間が短くなる、ということだ。

 これに対し、「1時間弱」を「1時間とちょっと」と勘違いする人は、足し算の考え方だ。
 1時間という時間に、ほんのちょっとの時間(弱)が加わるという感覚。

 1時間弱という言葉の意味を元々知っている人は別かもしれないが、1時間弱という言葉を初めて聞いて意味を自力で予測する場合、この引き算寄りの考え方なのか足し算寄りの考え方なのかで勘違いの発生が左右される気がする。

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