なぜかモテる友人の話|空気を読めない僕と世話焼きの彼女

オムニバス(エッセイ風小説)

なぜかモテる友人

 僕は友達が少ないが、それでもわずかながらに友達がいる。
 彼はその一人だ。彼はなんと言っても、異性にモテる。
 だいたいいつも彼女がいて、その彼女は周囲に評判のいい女の子ばかりだ。

 僕は以前、彼に率直に聞いたことがある。どうしてそんなにモテるのかと。
 失礼な話だが、彼は僕から見て特別にイケメンというわけでもない。
 だから素直に気になった。

 すると彼は話してくれた。
 こういう話は普通誰にもしてないんだ。そういう前置きの下に。
 彼が僕にそういう話をしてくれたのは、僕が彼に忖度のない質問をしたからだ。だから彼も僕に忖度なく話してくれるらしい。
 

友人の話

恋愛に必要なこと

 僕は今まで恋愛に不自由したことがない。誰とでも恋愛関係になれるというわけではないけれど、とりあえず彼女が常にいる。
 もちろんこんなことは普段口に出しては言わないよ。ただ、事実として、心の中で思っているだけだ。

 僕が恋愛に不自由しない理由は僕なりに解釈できていて、それはつまるところ僕が常識人であるということなんだ。

常識があるということ

 自分で言うのもなんだけど、僕はなかなかの常識人なんだ。モラルがある言動を心がけている。

 僕が思うに常識には二つの種類がある。
 一つは世間から見た常識。もう一つはその人から見た常識だ。
 世間の常識とその人の常識は異なる。これら二つを両方察するのが常識ある言動だ。

 僕は自分の言動について、常識ある言動を心がけている。それは僕がモラルのある人間だからというわけではなくて、そうすることが特であると考えるからなんだ。

普通のことを普通にする

 普通のことを普通にできるようになりなさい。

 小学生の頃、担任の先生がそう言ったことを覚えているよ。
 その日、クラスでは宿題をしてこなかった生徒がたまたま多かったんだ。僕は偶然にも済ませていたのだけれど。
 そこで先生が言った言葉がこの言葉だ。
 僕はこの先生のことがあまり好きではなかったけれど、先生が言ったこの言葉は真実だと思っている。
 つまりね、僕なりの言葉で咀嚼するとこういうことなんだ。

 普通や平凡であることは思ったよりも難しいことだ。
 だから普通や平凡になるために一定の労力を払うことは価値がある。

 普通のことをできない人は意外と多い。だから普通のことをできるだけでも人の評価は上がるものだよ。

 そしてもう一つの真理。
 人は普通のことはやりたがらない。誰だって特別で非凡な存在になりたいからだ。
 これが普通のことができない人間を生み出すことに拍車をかける。
 平凡の積み重ねが、人を非凡にすることもあるんだ。

僕の恋愛

 僕は異性に限らず周囲の人間に対して常識的な言動を心がけている。
 異性に限らずというのは一つのポイントだ。
 結果として僕は恋愛に不自由しない生活を送っている。
 だいたいいつも彼女がいる。僕から好意を伝えることもあれば、相手から僕に好意を伝えてくれることもある。

 僕は恋愛において特別なテクニックのようなものを使っているわけではない。というか、たぶんそういうものは存在しないんだと思うよ。
 僕は思うんだけれど、人や状況に合わせないで「こういうテクニックを使えば人間関係や恋愛がうまくいくんだ」なんて手段に固執している人は概して人とのコミュニケーションが下手だよ。
 結局のところ、人間関係は平凡な信頼の積み重ねなんだ。
 相手の話をちゃんと聞いたり、ちゃんと相槌を打ったり、マナーを守って接したり。
 そういったことの積み重ねでしかないと、平凡な僕は思っている。

 異性にとって、「この人といても恥ずかしくない」と思ってもらえることは大切なんだ。

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