マーフィーの法則と意識
マーフィーの法則とは?
マーフィーの法則とは、「洗車をした日に限って雨が降る」といった、皮肉な失敗についての経験則である。
マーフィーの法則は「法則」という名称がついているが、何か研究・検証された科学的なものではない。あくまで経験則・ジョークの一種である。
しかしながら、「失敗するときのタイミングの悪さ」は、多くの人が共感できるのではないだろうか。
トーストを落としたときはバターが下になる
例えばトーストをうっかり床に落としてしまった。
バターが付いた面とそうでない面、どちらが床に触れるかは当然二分の一である。にもかかわらず、よりにもよって、バターが付いたほうが床に触れてしまう。なんとも残念だ。
これはマーフィーの法則の典型例であろう。
このように、マーフィーの法則は「よりにもよって、嫌な出来事のほうが起こる」という皮肉を表現している。
冒頭で述べた「洗車をした日にちょうど雨が降る」もそうである。
この他には、「財布から小銭が落ちて、溝に入って取れなくなるのは(百円玉ではなく)五百円玉」なども例であろう。
マーフィーの法則の仕組み
当然ながら、洗車をしたら天気が変わるわけではない。
マーフィーの法則の背景には、「タイミングの悪い失敗ほど記憶に強く残る」ことが関係していると考えられる。
つまり洗車をして雨が降らない日も多いのだが、そういう日は「普通の日」なので記憶に残らない。
しかし洗車をして雨がたまたま降った日は、「よりにもよって」という思いから記憶に強く残る。
結果として「洗車をすると雨が降ることが多いなぁ」ということになるわけだ。
マーフィーの法則は、このような人間の記憶の癖のようなものを表しているとも言えるだろう。
マーフィーの法則と引き寄せの法則
マーフィーの法則と関連して、「引き寄せの法則」というものがある。
引き寄せの法則とは、端的には「願っていればそれが現実に起こる」という経験則である。
例えば「美味しいお店を見つけたい」と願っている人は、日々飲食店に注意が向くのでそうでない人より美味しいお店を見つける確率が上がるかもしれない。
マーフィーの法則も引き寄せの法則も、人間の意識の向け方に着目した経験則と言えるだろう。
マーフィーの法則のショートショート
アキは今日のデートに着る服を選んでいた。
先日知り合ったユウキ君は医者家系のお金持ち。アキとしては関係を成就させたいものだ。
アキが念入りに服を選んでいると、スマホに連絡が入る。急患が入ったとのことで、今日は会えなくなってしまったとのことだった。
アキは残念に思う。私とのデートの日に限って。マーフィーの法則だなと心の中で思う。
それでもアキは「お仕事頑張ってね」と返信する。愚痴なんて書かない。理解を示し印象を良くするアキ。玉の輿を狙ってのことだ。
急患の手術を終えて、一息つくユウキ。
多忙な日々で正直プライベートはおろそかだが、仕事にやりがいは感じている。人のためになる仕事。ユウキは医者という仕事に誇りを持っていた。
「急患ばかりだと、ロクにデートも行けないんじゃないですか?」
近くに居た看護師がユウキをからかう。
「まあね。でも、周りの人はみんな僕の仕事に理解を示してくれているよ。恵まれた話さ。引き寄せの法則って奴かな」