古い喜び
古い価値観がもたらす、今の世代には到底共感できない喜び。
それを私は「古い喜び」と密かに名付けている。
例えば仕事が終わって上司が部下を引き連れ居酒屋に行く。
仕事の愚痴を言いながら金曜日の夜を過ごし、溜まった疲れは翌日の休みを潰す。
私にとってそれは古い喜びだ。
仕事が終わってるのに仕事の話はしたくないし、愚痴をダラダラ言うの楽しくないし、私はそもそもお酒が飲めない。
別に飲み会を否定しているわけじゃない。
要するに古い価値観で「こういうのが楽しいだろ?」と押し付けてくる年配が嫌いなのだ。
人によっては「社員旅行」も古い喜びかもしれない。
人によっては「PTAの茶話会」も古い喜びかもしれない。
人によっては「昔の話をすること」も古い喜びかもしれない。
要するに、どんなことが楽しいかは人によって異なるし、年齢によっても異なる。だから「楽しさ」の価値観を強要しないでほしい。
ある世代で「楽しかったこと」が別の世代にとっても「楽しいこと」になるとは限らないのだ。
会社では、人にものを「教えたがる」人が多い。特に私のような(自分で言うのもなんだが)二十代の女子社員に対しては。
それは具体的な仕事の話だけでなく、「社会人として」とか「生き方」とかも含まれる。
何かを教えてくれるのはありがたいことだが、やっぱり年寄りの「俺が若かった頃は」的な話はくだらないと思ってしまう。
古い価値観で話される、今の時代には役に立たない人生観。
今とは違う時代で培われた、古い喜び。
人にはそれぞれの生きている時代があり、その世代ごとの喜びとか悩みがある。
どれが正しいというわけではなくて、それぞれの価値観があるということだ。
だから干渉しないで欲しい。
もちろんそんなことは思っていても口には出さない。
今日もニコニコしながら働いて、やっぱり定時には帰りたい。
今日は金曜日だから、恋人とゆっくりご飯が食べたいし、週末どこに行くかも話したい。
結婚している年配の人達にとっては、昔のことかもしれない、独身時代の恋愛。
彼ら・彼女らにとっての古い喜びを、私は今楽しんでいる。