パーキンソンの凡俗法則(自転車置き場の議論)
パーキンソンの凡俗法則とは?
パーキンソンの凡俗法則とは、「会議は些細な話題ほど長引いてしまう」という説のことである。
要するに、難しい議題は専門知識や責任が伴うので誰も発言せず活発な議論にはならない。逆にくだらない議題ほどあれやこれやと誰もが意見を述べて無駄に時間がかかるという皮肉である。
パーキンソンの凡俗法則は別名「自転車置き場の議論」とも言われる。
説明として、自転車置き場の例が出されるためだ。
会議が長い原因
パーキンソンの凡俗法則を説明するにあたり、よく例になるのが「原子炉」と「自転車置き場」である。
「原子炉の建設」といった議題はあまりに専門的すぎて、多くの人は何も意見できない。
専門家が「○○はこういうものなんだ」と言われれば、多くの人は(それに意見できる知識や経験がないから)「そうなんですね」と言うことしかできないだろう。
一方で、「社員の自転車置き場の屋根の色を何色にするか」といった議題は誰もが参加しやすいため、誰もが意見を述べて良くも悪くも議論が活発になる。
「目立つように赤がいいと思います」「社員がリラックスできるよう緑色がいいと思います」「そもそも屋根は必要でしょうか?」など、要するに「素人」でも何かしら言えてしまう。
本来、会議というものは難しく重要な議題ほど、みんなで知恵を出し合って活発に議論すべきだ。
しかし実際はそういう議題はさらっと終わり、実にくだらない議題ほど時間を使ってしまう。
会議の長さにイライラする
こういったくだらない議題に長い会議が行われ、イライラする人は少なくないだろう。
重要な議題は知識がないから「話せないくせに」、くだらない議論には活発に意見する人がいる。
そういう人は実にめんどくさい。
私達は「本当に話し合い熟考しなければいけないこと」と、「みんなが発言しやすいこと」のギャップに悩まされる。
パーキンソンの凡俗法則の例
鈴木はうんざりしていた。
給湯室のポットの調子が悪く、買い換えるか否か。その話が議題となってもう三十分は経っている。
給湯室のポットは業務ではなく休憩時間に使う物。だから買い換えるとなればみんなでお金を出し合うことになる。金銭が絡む話は確かに丁寧に行うべきだが、今これだけ時間をかける必要があるだろうか。
「まあ、ポットはまだ使えないわけではないから今週は様子を見ていいんじゃないかな。今ここで話しても結論はなかなか出ないだろう」鈴木はついにしびれをきらすを切らしてそう言った。
「それはそれとして、佐藤君の送別会の話をしたいのだが。お店はどこにしようか?」鈴木は話題を切り替える。
「鈴木部長」佐藤が手を挙げる。「送別会を予定していただいて誠にありがたいのですが、先に引継ぎ業務についてお話をさせていただければと思うのですが」
「業務の振り分けは佐藤君に任せるよ。佐藤君は普段から資料を綺麗にまとめてくれているから、特に問題はないだろう」鈴木は言った。
どうやらこの会社では、業務の引継ぎよりもポットの買い替えや飲み会の話が重要らしい。