【詩集】青春と郷愁

詩・散文

青春と郷愁と私

春の場所と違う人

吐く息が白い季節。
首元はマフラーで温かく、つい口元をうずめる。
朝の空気は冷たいけれど、澄んでいて気持ちがいい。
空の青さは淡く、雲は薄い。
春になる頃には、違う場所で違う人といるかもしれない。
そのとき私は、違う人なのだろうか。

放課後のベンチ

放課後の肌寒いベンチ。
外で何時間も話したのは 友達との話が楽しかったから。
気になるあの人と話せたから。
空は暗くなり、分かれ道からは一人で帰って、 また別の日もそうやって話す。
携帯を見れば、 それでやりとりはできるのだけれど。

リアルな青春

屋上は危険だから入れないし
文化祭は食べ物なんて扱わないし
クラスの男女比は半々じゃないし
校則は笑えないくらい厳しいし

漫画やドラマや小説のように
色鮮やかではないけれど
どんな物語よりもリアルな私の青春

プレゼントの温かさ

子供の頃に買ってもらった
誕生日プレゼントやクリスマスプレゼント
あの頃のおもちゃは
結局どうしたんだっけ
親戚にあげたっけ
捨ててしまったんだっけ
そういうのは忘れてしまった
店員さんから大きな箱を受け取る高揚感
家で包み紙を開ける感覚
隣にいる両親の温かさ
そういうのは、覚えてるんだけどなぁ

小学生の夏休み

小学生の頃の夏の暑さは、
今と大して変わらないはずだけれど、
どうしてこうも感じるものが違うのだろう。
自転車で行けるところは限られていて、
けれど遠くまで行ける気がする、
子供の頃の感覚。
今だってきっと、
遠くへ行くことはできるのに。

卒業式

毎日同じ顔触れで
毎日同じ教室で
過ごした日々は
もう充分な気もするし
やはり寂しい気もする。

それぞれの道を行くと言われるけれど
私達はどこに行くのだろう。

道もはっきりわからずに
私達はこの守られた場所から旅立っていく。

この場所に戻ってくる日はあるのだろうか。

きっとこの場所は
私達以外にとって
そこまで大それた場所じゃない。

私達は平凡な日々の中で、
平凡なものに特別さを見出しながら生きていく。

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