変わった名前
その女性は変わった名前だった。
彼女の名前はキラキラネームであり、小さい頃から苦労することが多かった。
他人が彼女の名前を聞いたり見たりすれば、すぐにその風変わりな名前に対する独特の間が生まれた。
時々は、その風変わりな名前が初対面の人と打ち解けて話すためのきっかけとなることはあった。
しかし多くの場合、彼女は自身の名前によって煩わしい目に遭うことが多かった。
小学校の頃は男子生徒からからかわれることが多かった。
中学生の頃は陰口を言われることもあった。
高校生の頃は試験の度に名前を書くのが嫌だった。
大学の頃はできるだけフルネームを知られたくなかった。
就活のときも苦労した。
人は他人から内面以外のことで評価されてしまうのだということを改めて知った。
口ではっきりは言わないものの、人は誰しも固定観念があって、それが淡い差別となっていることも知った。
名前はそんなに重要か。
彼女は自分の名前が好きではなかったが、同時に配慮のない周囲に対する憤りも感じていた。
彼女は自分の名前が好きではなかったが、両親のことを完全に嫌いにはなれなかった。
もちろん、こんな面倒な名前であることに対して両親に言いたいことはある。
けれど、両親が彼女にたくさんの愛情を注いでくれていたことも彼女をは知っていた。
様々な葛藤を経て、彼女は自分の名前を変えることを決意した。
彼女は家庭裁判所に赴き、名前を変えたい旨を相談した。
「変わった名前だからトラブルになることが多いんです」彼女は言った。
「そうなんですね。それでは必要書類を確認させていただいていいですか?」
職員にそう言われ、彼女は自身の名前を書いた書類を渡す。
「えっと、お名前が、『鈴木キラキラネーム』さんですね」
姓と名が合っていない
「確かに、なんと言いますか、少し個性的な名前かもしれませんね」職員は言った。
「はい。それに姓と名も合ってないのがさらに不自然というか」彼女は言った。
「変更後はどのようなお名前に?」
「姓と名を合わせたいので、『鈴木キラキラネーム』を『天ノ川キラキラネーム』に変えたいんです」
「そちらですか」