【ショートショート】意外な結末(オチ)の作り方
意外な結末とは
ショートショートで意外な結末を思いつくにはどうしたらいいだろうか。
ショートショートは必ずしもオチがないといけないわけではない。
物語や小説は自由なものだ。
しかし短く気軽に読めるショートショートは手軽な娯楽とされることも多い。
この場合はテクニカルで意外なオチが求められることが多いのもまた事実だ。
ショートショートを書く上で、意外な結末を思いつくにはどのようにしたらいいのだろうか。
意外な結末とは要するに読者が想定しない結末である。
読者が予想できないような展開とオチを書けばいい。
しかしながらそこには筋と言うか伏線と言うか、決して突飛ではなく矛盾もない必然性のようなものが必要だ。
物語が一定の秩序の下で進行し、なおかつ読者の予想を裏切る展開。
これが「意外な結末」の正体である。
構成と書き方
物語にオチを書くには主に二つの要素が必要である。
一つは世界観の構築である。
先述のように物語のオチは突飛なものや矛盾したものではいけない。
それでは「なんでもありじゃないか」と読者から冷ややかな視線を向けられることになる。
物語が描かれる世界に一定の秩序やルール、法則がありその中で物語を描くようにする。
その「縛り」のようなものが伏線やオチをおもしろくしてくれる。
二つ目が多角的な視点である。
世界観を構築してしまえば当然読者にも様々な結末が予想されてしまう。
それに気づかれないようにするには書き手自身の広い視野と視点、発想の転換が必要だ。
このように、秀逸なオチを描くには「なんでもあり」になってしまわない秩序のある世界観を描き、その秩序ある世界の中で作者のみ(あるいは勘の良いごく一部の読者)が着眼できる要素で結末を迎えることが必要なのだ。
意外な結末の種類
では意外な結末の例をいくつか挙げていきたい。
まず一つあるのが「事前に伏線を張っておく」パターンである。
物語の序盤ないし結末を明かす前段階でその材料となる要素を(読者に気づかれないように)描いておく。
例えば勇者が両親からもらっていたお守りの宝石が、実は魔王と倒す唯一のアイテムであったというのは典型的な伏線と言えるだろう。
読者が伏線に後から気づけば、「ああ、あれはそういうことだったのか」という爽快な伏線回収につながるだろう。
このパターンの注意点は言わずもがな伏線からのオチに気づかれないようにしないといけない。
二つ目が、「別の視点・新たな解釈を与える」パターンである。
先程の伏線を張るパターンと異なり、こちらはこれまで描いた物語に新たな解釈を与えるパターンだ。
例えば魔王は人のマイナスな感情から生まれる存在だから、人類と魔王の戦いは永久に続くのだという結末。このような解釈は伏線ではないが矛盾でもない、新たな視点での結末と言えるだろう。
続いて、「劇中劇」とするパターンもある。
劇中劇とは劇の中で登場人物達が劇を演じる、入子構造の演出である。
広義には「夢オチ」のパターンもこれに該当するかもしれない。
最後に変わり種で、「オチはない」というパターンもある。
散々オチについて書きオチを期待させておきながら「オチはない」とする。逆を攻めるパターンである。
意外な結末の例
最後に、このページ、この文章についての結末(オチ)を書いていこうと思う。
そろそろこの文章を終わらせないと、魔王討伐に出発する勇者達に遅れてしまうからだ。
私は「記録者」として勇者達のパーティーの加わっているのだから、遅刻は厳禁だ。
この文章を読んでいるあなた達から見れば、「この文章が異世界(魔法界)で書かれた文章である」というのはそれこそ「意外な結末」ではないだろうか。
しかし私は先程からいくつも勇者や魔王の例は出していた。だからこれらは「伏線」だったと言えるだろう。
同時に、書き手が別世界の読者に向けて文章を書いているという視点は「新たな視点」と言えるだろう。
さらに、意外な結末の例として勇者のファンタジーを挙げている書き手自身が、そのファンタジーの住人であるというのはある意味で「劇中劇」だ。
以上、いろいろと書いたが、結局私は魔法界で「意外な結末」についてただ考えを巡らせているだけであるから、結局このページに「オチはない」とも言えるだろう。
それでは、勇者と共に魔王を倒す旅に行ってくるとしよう。