旅行で学校を休むことはありかなしか。

オムニバス(エッセイ風小説)

旅行で学校を休むこと

私用で学校を休むこと

 家族の旅行で小学校を休むことはありかなしか。
 親が土日に休みを取れないから、平日に家族で休んで出掛けることはありかなしか。

 この手の類の意思決定は結局のところ「個人の自由」「家庭の方針」ということにはなる。

 ただ、個人的には、「教育の権利」と「家族の時間」を天秤にかける必要はあると思う。

教育の権利と家族の時間

 家族の旅行など(つまり体調不良や忌引きなどではない)で学校を休むことはありかなしか。

 この場合、意見は大きく二つに分かれるだろう。

 一つは「学校を娯楽やレジャーで休むのは良くない。子供が学校を休んでもいいものだと思ってしまう。休んだ間の勉強の遅れも心配だ」といった否定意見。

 もう一つは、「学校を休むかどうかは個人・家庭の自由。土日に休めない家庭だってある。日々の勉強も大事だが、家族の思い出作りはもっと大事だ」という肯定意見。

 いずれにおいても、「学校」という組織の「学校には行かないといけない」という「圧力」のようなものをどうとらえるか・考えるかという価値観が見えてくる。

 けれど、そもそも学校に行くことは義務ではなく権利だ。

 高校や大学に行った人は実感するかもしれないが、学校という施設を使って教師という人材を使って学ぶ教育にはお金がかかる。

 義務教育は、そういったお金がかかる教育をほぼ無償で受けられる子供の権利だ。
 そしてその権利は誰でも平等に与えられるが、小学校と中学校の九年間だけという厳密で残酷な縛りがある。

 たとえどれだけ学校に行かなくても、その権利をあとから主張することはできない。

 学校を休んで旅行に行くと、心のどこかで「学校という体制の言いなりではなく、自分で自分の人生の大切なものを選べている」感覚を覚える人もいる。

 けれどたぶん、学校に行かないことは義務に抗う行為ではなく権利を放棄する行為だ。

 だから旅行に行かず学校に行ったほうがいいという話ではない。

 学校を私用で休むときは、(学校という組織に対する反発心ではなくて)その権利を放棄してもいいと思えるくらい、自分の人生に大切なことだと思えるときにすればいいと思う。

 

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