自分が正しいと思うことを

オムニバス(エッセイ風小説)

自分が正しいと思うことを

 自分が正しいと思うことを。
 自分が正しいと思うことを。
 自分が正しいと思うことを。

 大事なことは、一回ではなく何回も言うタイプだ。
 だから私はこの言葉を何回も言う。
 私は忘れっぽい、移ろいやすい人間だからだ。

 自分が正しいと思うことをすること、言うこと、考えることは難しい。
 何が正しいかなんてわからない。何をすべきかなんてわからない。そんなものは状況によって変わる。だからみんな何が正しいかわからないし、それがわかれば苦労しない。

 だからこそ、自分が正しいと思うことをしようと思う。そう思う。
 それは自分が正しいと思ったことが正しいと自信があるからではない。

 人は間違うこともある。だから私が正しいと思うことも、正しくないかもしれないのだ。

 けれど、私は自分が正しいと思うことをしようと思う。

 自分が正しいと思って、周りがそれを違うと言って、だから周りの考えに合わせて、時間が経って、あとから自分の考えが正しかったんだとわかったときの後悔が嫌だからだ。

 もちろん程度にもよるけれど、私はたぶん、自分が正しいと思ったことをして間違っても、清々しくてたぶん後悔はしない。
 けれど自分の考えと違う、人から言われたことをして、それが間違っていときの、後悔といったらないだろう。

 だから私は正しいことをしたいというよりも、後悔したくないのだ。
 私は完璧な人間じゃない。正解するより間違うことが多いだろう。
 だから正解は貴重だ。自分の考えで正解できたら、それはすごく貴重だ。
 だから私は、自分で考え自分が正しいと思ったことをして、「やっぱりこれでよかったんだ」と思える経験を大切にしたい。
 もしもそこで間違っていても、「ここがこうだから違っていたんだ」と学ぶ経験を大切にしたい。

 「やっぱりこれでよかったんだ」と思えたら、人生はけっこう幸せなんじゃないかと思う。
 自分が自分を受け入れるということは、けっこう幸せなことなんじゃないかと思う。

 

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