親友とは?異性の親友は成立するのだろうか。

オムニバス(エッセイ風小説)

親友について考える

親友とはなんだろう

 親友とはなんだろう。

 例えば誰かといてもふとしたときに孤独を感じるような、内向的な人間にとって、親友とはどのような存在なのだろうか。

 僕達は親友というものの定義についてしばしば考える。
 親友とはなんなのか。自分に親友はいるのか。親友は必要なのか。
 そんなことを考える。

 多くの人が、親友は友達よりも上位の概念であると考える。比較的たくさんの友達から、ごく少数のより親しい親友という存在がいる。そのように考える。

異性の親友

 僕にはおそらく二人の親友がいる。少なくとも僕はそう思っている。

 一人は高校の頃同じクラスだった橋本という女の子だ。
 僕達は異性ではあったが親友だったと思う。
 よく男女の間に友情は成立するかという問いがあるが、僕は成立するのではと考える。

 しかし僕が男女の間に友情が成立するという価値観を持っているから、僕と橋本が親友になったというわけではない。
 僕は橋本と親友になったことを通して、男女の間に友情は成立すると考えるに至った。要するに順序が逆なわけだ。

 僕と橋本は気が合うものの恋愛関係を意識してはおらず、結局は互いに別の恋人ができるに至った。しかしそのときも互いに恋愛の相談をする気楽な仲だった。

 いずれにせよ、僕達は互いに気楽に話すことができる仲だった。けれどそれは互いが恋愛関係ではないほどよい距離感だったからかもしれない。

 このように考えると、親友とは単に距離が近ければ近いほどいいというわけではないのかもしれない。
 きっとこれは異性の親友にも同性の親友にも言える気がする。
 べたべたと互いに依存することが親友であるとは限らない。 

同性の親友

 僕のもう一人の親友はおそらく木村という同性のクラスメイトだ。木村とは小中高と同じ学校で、付き合いが長い。
 常に一緒に行動していたというわけではないが、どこか気が合うところがあった。

 僕は正直、高校の頃は木村を親友とはあまり認識していなかった。
 友人の中でも特に親しい関係だったとは思うが、それを親友という仰々し言葉で形容はしなかった。

 僕が木村を親友なのではないかと認識したのは大学生になってからだった。
 僕と木村は別々の大学に通うことになり、高校卒業のときにこれで木村との交友も途絶えるかと思った。

 しかし大学に入学してから1年と少しが経って、僕と木村は連絡を取り合った。夏休みに地元に帰ってきたことがきっかけだ。
 僕達は互いにバイトでお金を貯めて大学生の若者らしく遠方に旅行に行ったり酒を飲んだりした。
 行き当たりばったりの準備不足の旅行は、恋人やできたばかりの友人とはできない。

 僕はこのとき、いくつになってもやってみたいことや困ったことがあるときは、木村に相談するかもしれないとなんとなく思った。

テキストのコピーはできません。
タイトルとURLをコピーしました