冬休みの宿題が終わらない人

オムニバス(エッセイ風小説)

冬休みの宿題

冬休みの宿題の困難さ

 冬休みの宿題は夏休みの宿題以上に困難なものだと私は思っている。

 冬休みは夏休みよりも短く、総じて宿題も夏休みほどでのボリュームはない。
 しかしながら、量の問題以上に冬休みの宿題はやっかいな点が多い。

 まず冬休みの宿題は夏休みの宿題よりも少ないかもしれないが、日数当たりの宿題の量と考えると議論の余地はある。つまり日数のわりには宿題が多い気がするということだ。

 そして冬休みの宿題の最も厄介な点は、イベントや行事のタイミングの悪さだ。
 小学生であれば、おおむね冬休みはクリスマスイブの直前、十二月二十三日前後に始まるのが一般的だろう。長期休みに入りただでさえ浮かれる時期に、クリスマスイブが控えている。一体誰が宿題をする気になるだろうか。家族で御馳走やケーキを食べて、サンタさんを楽しみに床に就きたいものだ。

 クリスマスが終われば今度は大みそかと正月が控えている。親の実家が遠方であれば、三十一日よりも前に帰省のため出かけることになるだろう。
 もちろん、クリスマスが過ぎた二十六日や二十七日。三日程度は宿題をするチャンスはあるかもしれない。
 気持ちとしては、年末年始までに宿題はすっきり終わらせておきたい。しかしながら、三日程度で宿題が全て終わるだろうか。それは現実的ではない。そんな見通しが途端に宿題へのモチベーションを下げてしまう。
 結局、まったくあるいはやっても微々たる状態で宿題の大半は残り、年末年始を迎えることになる。

 正月三が日が過ぎれば、もう言い訳はできないだろうと思う。ここからが宿題の踏ん張りどころだ。しかし、残り少ない冬休みの焦燥感は、宿題をすることの虚しさを際立てる。もう私の長期休みは終わった。そう考えるとなんとも切ない。
 しかし暗くなるのはまだ早い。成人の日は祝日だ。土・日・月の三連休。親や親戚、友人も連休であれば、レジャーに行くチャンスだってあるかもしれない。そうでないなら、この三連休で宿題を済ませたっていいかもしれない。つまりまだまとまった時間は残されているのだ。
 そう考えると、正月三が日以降の平日も宿題に身が入らない。

冬休みの宿題の終わらせ方

 このように、多くの人間が冬休みの宿題を最終日まで残してしまうものだ。

 冬休みの宿題を終わらせるコツは、冬休みの宿題は夏休みの宿題と根本的に異なることを理解することだろう。
 夏休みの宿題は序盤に一気に終わらせて、お盆をゆっくり過ごすといったことが可能だ。つまり嫌なことを先に集中して終わらせて楽しみをあとでゆっくり味わうというスタイルだ。オンとオフをはっきりと区別した、過集中と弛緩。
 しかし冬休みにそういった考えをしていては、ずるずると先延ばしになってしまう危険性がある。なぜなら冬休み開始直後にクリスマスイブという楽しみが入ってくるからだ。

 冬休みの宿題から学ぶ教訓は、気持ちを切り替え作業を小分けにできるフットワークの軽さである。

 一日でも隙間時間でもいいからとにかく宿題を行う。クリスマスや正月は残った宿題も気になるだろうが、そこは割り切り楽しむときは楽しむ。そして楽しい合間にも、宿題を少し取り組む(少しでいいといのがコツだ)。そういった楽しむときは楽しみ、嫌なことも主体的にこなす切り替える力が必要になる。

 もちろん、中にはクリスマスも正月も過ぎて、最終日ギリギリで宿題の山に絶望している人間もいるだろう。
 そういう場合に冬休みの宿題を終わらせるにはどうすればいいか。
 コツとしては、こういった「冬休みの宿題を終わらせるにはどうすればいいか」といった能書きの類など読まずに、そんな時間があるならとっとと宿題に取り組むことだ。

夏休みの宿題

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