ショートショート女子(目次とプロローグ)

短編小説

ショートショート女子(プロローグ)

 求人募集。
 この場所で働いてくれる人を募集します。
 仕事の内容は主に相談役、事務作業、環境整備、要するにこの場所を成立させるための諸々です。

 職歴・資格・経験の有無は問いません。
 ただし試用期間を設け、そこで適性の有無を判断させていただきます。

 通勤手段も問いません。
 一台ほどであれば駐車場の空きもあるので、自家用車での通勤も可能です。
 自転車も同様。駐輪場確保できます。
 ただし最寄り駅の近さも考えると、電車も便利かもしれません。
 このあたりの道路はさほど交通量は多くありませんが、右折用の信号がないところが多いです。朝の時間帯は予期せぬ渋滞もあるでしょう。このため電車のほうが時間に正確ではあります。

 昼休みは十二時より一時間です。
 ただし応対の状況・職員のその日の勤務状況によって前後する場合もあります。
 もちろん、それでも一時間は確保できます。人にとって食事と休息は必要です。
 昼食は近くのコンビニで買ってもいいですし、外で済ませて来てもいいです。
 自宅から弁当を持参してもいいでしょう。その際は休憩室を使ってください。

 職員専用のトイレはありません。共有の物を使ってください。
 これは防犯上の観点からと、本音はそこまでの予算と敷地がないからです。
 まあ、男女別ですし個室も複数ありますから不便はないと思います。

 あなたのような人材がここに勤めてくれるのなら、私としては嬉しい限りです。
 けれどそれはあなたの意思があってこそです。
 強要はしませんし、あなた自身の選択をしてほしいと思います。
 なぜならここは、そういう場所だからです。

 私がこの仕事に就くにあたって佐野さんから聞いたことは、まぁ、そういった類のことだった。

第1話「悩める人の広場」

各話リスト(目次)

第一章「三月の場所」



以降、順次公開予定




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