優しい人達の中で
私が傷ついたとき、優しい人達は寄り添ってくれた。
辛かったね。あなたは頑張ってる。そう言ってくれた。
私が心ない言葉をかけられたとき、優しい人達は寄り添ってくれた。
それはひどい。あなたは悪くない。そう言ってくれた。
私が追い詰められたとき、優しい人達は寄り添ってくれた。
大変なときは言ってね。無理をしちゃいけないよ。そう言ってくれた。
私の周りには、優しい人達がたくさんいた。
私のことを思い、私に優しい言葉をかけてくれる人達。
たとえ私が特定の人から理不尽な仕打ちを受けても、ここにはそういうことをしない、優しい人達もいた。
私が受けた仕打ちを知ると、それは違うよね。ひどいよねと共感してくれた。私に寄り添ってくれる人が、私の周りにはいる。
私が辛い思いをして、頭の中が真っ暗で、何をどうしたらいいかわからないとき、そういう思いを一人で抱え込んでいるとき、優しい人達は私を責めたりしない。
私の周りには、優しい人達がいる。
けれど、優しい人達は、私のために立ち上がることはなかった。
手を挙げてはくれなかった。
声を上げてはくれなかった。
私は孤独だった。
目の前の脅威に立ち向かう人はいなかった。
自分が傷ついてでも他者を守ろうとする人はいなかった。
それは間違っていると主張できる人はいなかった。
みんな自分の安全な場所から、力になるよと言ってくれた。
けれど自分がそれを背負おうと、手を挙げてはくれなかった。
みんな自分の安全な場所から、私に声をかけてくれた。
けれど今この理不尽な状況に、声を上げてはくれなかった。
それは当然のことなのだと思った。
誰だって自分のことで精一杯で、誰だって自分を守ることに必死で、誰だって自分が一番可愛かった。
だから、優しい人達は悪くない。だから、責めることもない。
それは当然のことなのだと思った。
みんな自分の安全な場所から、私に優しくしてくれる。
だから私は、ここからいなくなった。