転校生が隣の席に (2) 物珍しさで人と関わりたくない

連載小説

第1話「転校生が隣の席に」

第2話「物珍しさで人と関わりたくない」

「城山残念だったね。小川さんと席離れちゃって」
 席替えで僕の前の席になった渡辺は、そう言って僕を茶化す。
「別に残念じゃないよ」
 僕は努めて素っ気なく言う。別に小川さんを意識していたわけではないけれど、重なった偶然がこうも早く終わってしまうと、確かに滑稽ではある。


☆☆☆


 転校してきた小川さんはやはり注目を浴びやすく、昼休みになると何人かの女子生徒が声をかける。
 転校生という立ち位置だけで話しかけてくる生徒達に、小川さんは微笑みながらも少し困ったような表情で頷いたり首を振ったりしていた。
 僕はそれを遠目で見ながら、あるいは遠目で見ないようにしながら、小川さんには話しかけなかった。

 転校生という物珍しさだけで小川さんに話しかけるのは、なんだか小川さんに失礼な気がした。
 それに物珍しさだけで人と関わることは、人としていささか軽率な気もした。
 だから僕は用事やきっかけもないのに小川さんに話しかける必要はないだろうと思った。話しかける人はたくさんいる。別に僕じゃなくてもいいのだ。

 でもたぶん、とも思う。
 でもたぶん、そういうことを気にしないで気楽に話しかける人間のほうが友達は多いものだ。
 転校生が来て、「ねぇなんで転校してきたの」とか気軽に聞いてくる田口みたいな生徒のほうが。小川さんが苦笑して、「いきなりそんなこと聞いて失礼だよ」と周りの女子がカバーして。
 そうやって学校の中の人間関係ができあがっていく。

 だからこれは何が正しいかという話ではない。
 ただ僕は、小川さんに群がる生徒の輪の中に入ることに抵抗があった。そういう個人的な、性格というか価値観の話だ。

「委員会何になったっけ?」渡辺は聞く。
「図書委員。去年と一緒」僕は答える。
「一緒じゃん。当番いつ?」
「今日」


☆☆☆


 昼休みになり僕は図書室へ行き、カウンターの席に座る。図書委員は交代で昼休みに本の貸し出し処理を行う。その日の昼休みはつぶれるけれど、別に本を読みながら過ごせばいい。だから図書委員は僕にとって楽な委員会だった。
 けれど今日は、隣の席に小川さんが座っている。彼女も図書委員だったらしい。席替えはしたが、なんの因果か僕は小川さんと隣の席に座っている。






第3話「コミュニケーションの在り方」

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