CM上の演出です

オムニバス(エッセイ風小説)

CM上の演出です

 CM上の演出です。
 テレビ・ネットなどの動画において、いくつかの描写はCM上の演出であり、実際と異なる場合があります。

 CM上の演出は、そのCMをより印象的に、よりおもしろく見せるための製作者の意図です。
 このため実際よりも華美に極端に描かれている場合があります。

 CM上の演出は、現実と区別がつきにくい微妙なものから、例えば空を飛ぶような突飛な演出まで様々です。

 現実と区別がつきにくい微妙な演出は、しばしば人の誤解を生むかもしれません。
 そういった紛らわしい演出は、CMをおもしろくしようとした結果論でもあれば、意図的に誤解を生むように仕組まれる場合もあります。このため「CM上の演出です」は、しばしば(気づかれにくいように)片隅に小さいテロップで表示されることもあります。

 突飛な演出についても、「CM上の演出です」は欠かせません。
 多くの人が演出とわかるものでも、それを現実と受け止める人がゼロとは言い切れないからです。

 「子供が真似したらどうするんだ」CM上の演出について、上記のように感じる人がいます。
 その「子供」は自分の子供かもしれませんし、知り合いの子供かもしれませんし、面識のないこの世界のどこかにいる子供かもしれません。
 「この演出で傷つく人がいるんじゃないか」CM上の演出について、上記のように感じる人がいます。
 その「傷つく人」は自分かもしれませんし、自分の家族や友人かもしれませんし、面識のないこの世界のどこかにいる人かもしれません。

 私達は、どこかの「誰か」が好きです。自分がどう感じたかよりも、自分と同じように感じる誰かを例に挙げることが大好きです。
 自分が「こう思う」ではなく、「あの人はこう言っていた」が好きです。「みんなこう言っている」はもっと好きです。
 私達は、自分の気持ちを言ってくれる「誰か」や「世の中」が好きです。

 けれど、「みんなこう言っている」「普通はみんなこう言うだろう」は、その人の演出です。

テキストのコピーはできません。
タイトルとURLをコピーしました